永世乙女の戦い方 (くずしろ)
「永世乙女の戦い方」は、将棋に情熱を注ぐ女子高校生・早乙女 香の成長と戦いを描いた作品です。幼い頃から憧れていた女流棋士界の絶対女王・天野 香織を目指し、81マスの盤上で次々と現れる強敵に立ち向かっていきます。対局シーンでは、美しくも獰猛な表情や不敵な笑みを浮かべる彼女たちの姿が印象的で、将棋の世界に男女の区別はないのだと感じさせてくれます。将棋に打ち込む乙女たちの熱い戦いと、それぞれの個性が織りなす人間ドラマが魅力の一作です。将棋に興味がない方でも、登場人物たちの情熱と成長に共感し、応援したくなること間違いなしの作品です。
龍と苺 (柳本光晴)
『響~小説家になる方法~』で鮮烈なデビューを飾った柳本光晴の最新作『龍と苺』は、将棋を通して自分自身と向き合う14歳の少女・藍田苺の物語です。日常に退屈さを感じていた苺は、元校長に才能を見出され、初心者ながら将棋の市大会に参加することに。そこで、性別や年齢による偏見という「見えない壁」に直面するも、苺は自由奔放に、そして猛烈に戦います。
彼女の異常なまでの強さと向こう見ずな性格は、まるで伝説の雀士・アカギが転生したかのよう。将棋の奥深さを知れば知るほど、苺は想像を超えた力で立ち向かっていきます。果たして、彼女は将棋の深淵に潜む龍たちを超えていけるのか。柳本光晴が描く、新たな"闘う"将棋マンガの幕が上がります。ぜひ、この痛快無比な物語を手に取ってみてください。
月下の棋士 (能條純一)
「月下の棋士」は、将棋の世界を舞台に、棋士たちの極限の精神を描いた漫画です。主人公の氷室将介は、伝説の棋士・御神三吉の孫と称する天才少年で、彼の快進撃が物語を駆動していきます。特に1巻から10巻までのテンポの良さは圧巻で、ページをめくる手が止まりません。氷室将介の鋭い洞察力と、彼が放つカッコイイ台詞は、読者を引き込む大きな魅力です。この作品は、将棋を通して、エンターテイナー、戦士、神といった様々な棋士像を描き出します。そして、氷室将介という特異な存在が、彼らの打ち筋(人生)を読み解いていく過程は、まさに圧巻の一言。将棋ファンはもちろん、人間ドラマが好きな方にもおすすめできる作品です。
将棋めし (松本 渚)
『将棋めし』は、将棋の対局中に棋士たちが何を食べるのかにスポットを当てた、ユニークな将棋グルメマンガです。主人公の女流プロ棋士・峠なゆたをはじめとする登場人物たちが注文するメニューは、作中で実在するものばかりで、リアリティが感じられます。
棋士たちの食事へのこだわりやジンクスなども描かれており、将棋マンガの新しい楽しみ方を提供してくれます。対局相手と同じメニューを避けたり、相手より上のランクのメニューを頼もうとしたりと、なゆたの神経質な一面も見どころの一つです。
また、主要人物の名前が焼酎のブランドを元ネタにしているなど、作者のこだわりも感じられます。同作者の他の作品とも世界観が共有されており、ファンにはたまらない設定です。
将棋ファンはもちろん、グルメマンガが好きな方にもおすすめできる作品です。将棋の奥深さとグルメの魅力を同時に味わえる、他にはない独特の世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。
盤上の詰みと罰 (松本渚)
漫画「盤上の詰みと罰」は、将棋とミステリーを絶妙に融合させた作品です。かつて最強と呼ばれた元女流六冠のプロ棋士・霧島都が、記憶障害に悩みながらも、失われた記憶を取り戻すために全国将棋一人旅に出るストーリーが展開されます。
都の明るくて可愛らしいキャラクターと、彼女の強さと決断力が魅力的です。5年前の対局で何が起こったのか、その謎を解き明かすために奮闘する姿に感情移入できるでしょう。
将棋の奥深さと、記憶探しの過程で出会う人々との交流が、読者の心を揺さぶります。全2巻という短さながらも、濃密で印象的なストーリーが詰まっています。
将棋に詳しくない人でも、ミステリー要素と青春要素が絡み合う物語に引き込まれることでしょう。笑顔と愛と謎が渦巻くこの作品は、将棋ファンのみならず、幅広い読者におすすめできる一冊です。
或るアホウの一生 (トウテムポール,橋本崇載)
『或るアホウの一生』は、将棋の世界を舞台に、主人公・高以良 瞬と仲間たちの成長と奮闘を描いた熱血将棋マンガです。
主人公の瞬は、プロ棋士になるために独自の道を選び、ビジュアル系のようなメイクやピアスで外見を変えるなど、型破りな行動で周囲を驚かせます。彼の「ふざけてません、本気です」という言葉に表れているように、真っ直ぐで一途な性格が作品の魅力となっています。
瞬を取り巻く個性的な仲間たちとの関係性も見どころの一つです。イケメン坊ちゃんの夏目、辛辣な最年長・迫、一見温和な牧野など、それぞれが瞬と関わりながら、時には衝突し、時には支え合いながら成長していきます。
将棋に全てを捧げる瞬たちの姿は、スポーツマンガにも負けない熱量で読者を引き込みます。彼らが直面する悩みやもどかしさ、そして「勝ちたい」という強い想いは、将棋を知らない人にも共感できるでしょう。
トウテムポールさんの『或るアホウの一生』は、将棋という題材を通して、青春の熱さと真っ直ぐさ、仲間との絆を描いた作品です。将棋ファンはもちろん、熱血マンガが好きな人にもおすすめできる、全4巻で完結した読み応えのある作品です。
ひらけ駒! (南Q太)
『ひらけ駒!』は、将棋好きの小学4年生・菊地宝と、彼の影響で将棋にのめり込んでいく母親の親子の絆を描いた、ほのぼのとした将棋マンガです。主人公の宝は、「週刊将棋」や「将棋世界」を愛読し、将棋教室やスクールに通って腕を磨く無類の将棋好きな少年。アマ4段に昇格し、研修会に入ります。
物語では、千駄ケ谷の将棋会館、子ども将棋大会、将棋スクール、町の小さな将棋道場、将棋まつりなど、将棋の世界が丁寧に描かれています。将棋の魅力に引き込まれていく親子の姿は、読者を温かい気持ちにさせてくれるでしょう。
続編の『ひらけ駒!return』では、将棋にハマった頃の主人公の日常が描かれており、将棋の奥深さと面白さを再発見できます。将棋好きはもちろん、親子の絆を大切にしたい人にもおすすめの作品です。
3月のライオン (羽海野チカ)
『3月のライオン』は、プロ棋士の桐山零の成長と再生の物語です。幼い頃に家族を失い、孤独と喪失感を抱えながらも、川本家の三姉妹との出会いを通じて、少しずつ心を開いていく様子が丁寧に描かれています。
将棋の対局シーンは迫力があり、先崎学さんの監修もあって、リアリティを感じられます。零の苦悩や葛藤、そして成長の過程は、読む人の心を揺さぶり、共感を呼びます。
また、登場人物たちの個性が際立っており、それぞれの抱える問題や悩みに真摯に向き合う姿が印象的です。彼らとの関わりの中で、零は棋士としてだけでなく、一人の人間としても成長していきます。
『3月のライオン』は、将棋を通して描かれる人間ドラマであり、心温まるストーリーです。孤独や喪失感を抱える人、将棋に興味がある人、そして何か悩みを抱えている人に、ぜひおすすめしたい作品です。
将棋指す獣 (左藤真通,市丸いろは,市丸 いろは)
『将棋指す獣』は、女性初のプロ棋士を目指す主人公・弾塚光の奮闘を描いた作品です。将棋界では女流棋士はいるものの、奨励会を経てプロ棋士になった女性はいないという現状があります。そんな中、元奨励会三段の光が、男性以上に狭き門であるプロの世界に挑戦します。
アマチュアからプロへの道のりは過酷で、特に女性にとってはさらに厳しいものです。光は友達を失い、"ケダモノ"と呼ばれるほどの超攻撃的な棋風で戦います。しかし、その強い光は読者に勇気を与えてくれます。
将棋ブームの到達点ともいえるこの作品は、清廉なる一手が盤上に花開く瞬間を見事に描き出しています。女性がプロ棋士になることの難しさと、それでも諦めずに挑戦する主人公の姿に、多くの人が感動するでしょう。
ハチワンダイバー (柴田ヨクサル)
「ハチワンダイバー」は、将棋の知識がなくても楽しめる独特な世界観を持つバトルマンガです。主人公の菅田は賭け将棋で生計を立てる「真剣師」で、アマチュア最強を自負していましたが、秋葉原の女真剣師に敗れてしまいます。物語は個人的な勝負から始まり、徐々にスケールが大きくなっていきます。中盤では少し中だるみがありましたが、最後の真剣勝負で賭けられていたのは、たった一人の女性とプライドだけでした。そして、全ての元凶であったタニオの純粋さが際立つ結末を迎えます。将棋の知識がなくても、勝負の緊張感と独特の世界観を存分に楽しめる作品です。
聖(さとし)-天才・羽生が恐れた男- (山本おさむ)
「聖(さとし)-天才・羽生が恐れた男-」は、孤高の天才棋士・村山聖九段の感動的な生涯を描いた漫画です。幼いころから難病と闘いながら、将棋に情熱を注ぎ、わずか29年の人生を将棋に捧げた村山聖の物語は、読む者の心を打ちます。
山本おさむの迫力ある画力が、村山の気迫と人生の重みを見事に表現しています。一コマ一コマに込められた情熱と執念は、読者を圧倒させずにはいられません。
村山聖は、羽生善治や佐藤康光といった強豪棋士たちとライバル関係を築き、名人の座を目指して奮闘します。もしもう少し長く生きていれば、名人になれたかもしれません。しかし、29年という短い生涯であっても、彼の将棋人生は多くの人々に強烈な印象を残しています。
この漫画は、将棋ファンだけでなく、困難に立ち向かう勇気と情熱を必要とする全ての人に読んでいただきたい作品です。村山聖の生き様は、読者に深い感動と勇気を与えてくれるでしょう。
それでも歩は寄せてくる (山本崇一朗,北尾まどか,ねこまど)
「それでも歩は寄せてくる」は、「からかい上手の高木さん」の作者・山本崇一朗による将棋を題材にしたラブコメ漫画です。将棋部に入部した田中歩は、部長の八乙女うるしに想いを寄せていますが、彼女に勝つまでは告白しないと決意しています。
将棋の実力差は歴然としていますが、歩は真顔で先輩を照れさせるようなことを言って、うるしの心を揺さぶっていきます。好きだとは直接言わずとも、歩のストレートな言動に、うるしは次第に惹かれていくのです。
二人の可愛らしいやり取りを楽しむことができるこの作品は、恋愛と将棋が織りなす新感覚のラブコメディです。高木さんシリーズが好きな方はもちろん、学生時代のドキドキした気持ちを思い出したい方にもおすすめの一冊です。
宗桂~飛翔の譜~ (星野泰視,渡辺明)
『宗桂~飛翔の譜~』は、将棋の世界を舞台に、主人公・大橋宗桂の成長と葛藤を描いた作品です。麻雀漫画『哲也~雀聖と呼ばれた男~』で大ヒットを飛ばした星野泰視さんが、今度は将棋の世界に挑戦しました。
本作の魅力は、何といっても将棋のリアリティです。作中で指される将棋は、江戸時代の実際の棋譜をベースにしているだけでなく、現代のトップ棋士・渡辺明さんが初手から投了まで組み立てたオリジナルの棋譜も使用されています。これにより、将棋ファンはもちろん、初心者でも将棋の内容が理解できるようになっています。
さらに、星野さんの濃密なキャラクター描写と心理戦が加わることで、単なる将棋漫画ではない、深みのある「本格将棋エンターテインメント」に仕上がっています。史実も絡んだストーリーは、江戸時代が舞台であることを忘れてしまうほどのリアリティがあります。
将棋ファンはもちろん、将棋に興味がある方、そして星野泰視さんのファンにも是非おすすめしたい作品です。
将棋の渡辺くん (伊奈めぐみ)
「将棋の渡辺くん」は、将棋界のトップ棋士である渡辺明さんの日常を、奥様の伊奈めぐみさんが描いた実録マンガです。将棋に人生のすべてを捧げている渡辺さんですが、この作品では、勝負とは離れた意外な一面が明らかになります。
例えば、干支を知らなかったり、ぬいぐるみを100匹以上もコレクションしていたりと、一般常識からかけ離れたエピソードの数々。さらに、漫画好きが高じて本棚が1282冊の漫画で埋め尽くされているなど、将棋以外の意外な趣味も明らかに。
一方で、将棋の研究に関しては非常に熱心で流行にも敏感。プロ棋士としての姿勢は誰にも負けません。勝てば笑い、負ければ自分を責める。そんな渡辺さんの姿は、まるで人生の縮図のようです。
将棋に懸命に打ち込む棋士の姿は、私たち人類の代表とも言えるのかもしれません。彼らは何を食べ、どれくらい寝ているのか。そんな疑問にもこの作品は答えてくれます。将棋ファンのみならず、多くの人に読んでいただきたい、リアルな棋士の日常を描いた作品です。
リボーンの棋士 (鍋倉夫)
『リボーンの棋士』は、年齢制限により一度はプロ棋士の夢を諦めた安住浩一が、再びその夢に挑戦する物語です。挫折を経験した安住は、将棋への情熱を取り戻し、同じ境遇の土屋とともに、プロ編入を目指して奮闘します。
彼らの前に立ちはだかるのは、プロ編入試験の厳しい条件です。アマチュアの大会で勝ち続け、プロ棋士との公式対局が許されるアマトップレベルの選手にならなければなりません。安住は、アマチュア最強と言われる片桐豊に勝利し、東京都代表になります。
しかし、それだけでは足りません。安住と土屋は、古賀七段らの研究会に参加し、新しい戦法を学びます。彼らは、かつての自分とは違う、まったく新しい棋風を身につけていきます。
『リボーンの棋士』は、挫折を乗り越え、新たな自分を発見する物語です。年齢制限という壁に阻まれても、諦めずに夢を追い続ける安住の姿は、読者に勇気を与えてくれます。将棋を通して、人生の意味を問い直す作品であり、夢を追うすべての人におすすめしたい漫画です。