この音とまれ! (アミュー)
「この音とまれ!」は、日本の伝統楽器である箏(こと)を演奏する高校生たちの青春を描いた漫画です。廃部寸前の箏曲部に入部した主人公たちは、ほとんどが初心者ながらも、筝曲の魅力に引き込まれていきます。
練習を重ねるうちに、次第に演奏がそろってくる喜びを感じ、仲間との絆も深まっていきます。マイナー競技ならではの苦難もありますが、それを乗り越えていく過程が読者に勇気を与えてくれます。
また、この漫画を通して、筝曲の基本的な知識も自然と身につきます。伝統音楽に馴染みのない人でも、登場人物たちと一緒に箏の奥深さを感じられるでしょう。
青春、友情、そして日本の伝統音楽。この3つの要素が見事に融合した「この音とまれ!」は、きっとあなたの心を揺さぶるはずです。ぜひ一度手に取ってみてください。
ぴんとこな (嶋木あこ)
「ぴんとこな」は、歌舞伎界を舞台に、家柄や血筋を重んじる伝統的な世界観と、実力主義の現代社会との対比を描いた作品です。名門の御曹司でありながら実力不足の恭之助と、無名の家に生まれながら努力で実力をつけた一弥の対照的な立場は、現代の読者にも共感できるでしょう。そんな二人が、歌舞伎好きの女子高生・あやめのために切磋琢磨する姿は、読んでいてつい応援したくなります。恋愛模様を軸に、歌舞伎界の現状や課題にも触れているため、歌舞伎に詳しくない人でも楽しめる作品となっています。伝統と革新、家柄と実力、恋愛と友情など、様々なテーマが絡み合う本作は、きっとあなたの心を掴んで離さないはずです。
私は利休 (早川光,連打一人)
「私は利休」は、平凡な日常に不満を抱える若手会社員・田中が、同僚に誘われて茶道の世界に足を踏み入れるところから始まります。師匠となる山上宗刻の指導の下、田中は茶道の奥深さに触れ、次第にその魅力に引き込まれていきます。普段はダメキャラな田中が、茶道の場では利休を思わせる所作を見せるという謎めいた設定も興味をそそります。茶わんや茶室、花入れなど、茶道に関わる道具の一つ一つが一流のものであることに驚かされ、茶道の繊細さと奥深さを感じずにはいられません。この漫画は、茶道という日本の伝統文化の魅力を、現代人の目線で描いた作品です。日常に新しい発見や刺激を求めている人におすすめの一冊です。
昭和元禄落語心中 (雲田はるこ)
漫画「昭和元禄落語心中」は、刑務所上がりの与太郎が落語の名人・八雲に弟子入りし、落語家として成長していく物語です。八雲の落語の技術は圧巻で、1人で何役も演じ分けたり、声の抑揚で客を引き付けたりする様子は、素人同然の与太郎でなくとも感心してしまうほどです。
この作品は、戦前からバブル以降までの時代を舞台に、孤高の名人と対照的な立場の弟子が出会い、落語への情熱を追求する中で、同門関係や色街、疑似家族、ファンなどが絡み合いながら展開していきます。与太郎は八雲の養女・小夏とも出会い、様々な人間関係が描かれています。
落語が絶頂期を過ぎ、テレビや漫才ブームに圧されていた時代に、八雲の孤独・孤高な芸風と生き方、そして落語界の衰退が強く関わり合っていく様子が印象的です。与太郎の成長と共に、落語の奥深さや魅力を知ることができる作品であり、落語に興味がない人でも十分に楽しめるでしょう。
ハルカの陶 (ディスク・ふらい,西崎泰正)
「ハルカの陶」は、日常に行き詰まったOLのハルカが、ある陶芸作品との出会いをきっかけに、人生を変えていく物語です。
弟子入りした作者のもとで、ハルカは粘土を練り、削り、乾燥させ、焼き上げるまでの繊細な職人芸を学んでいきます。
陶芸の手間暇が詳しく描かれているため、読者も職人の技術と情熱を感じ取ることができるでしょう。
ハルカの成長とともに、作品の価値や美しさにも気づかされます。
この漫画は、日常に疲れた人や、新しいことにチャレンジしたい人におすすめです。
ハルカのように、情熱を持って何かに打ち込むことの大切さを教えてくれる作品です。
職人の世界や、芸術の奥深さに触れることができ、心が豊かになる読書体験ができるでしょう。
人生の転機を迎えたい人や、自分を見つめ直したい人にぜひ読んでいただきたい一冊です。