1位 うみべのストーブ 大白小蟹短編集 (大白小蟹)
この漫画は私たちが忘れそうな小さくて大切なことを思い出させてくれます。静かで新鮮な物語の数々は、自分の気持ちに触れる機会を与えてくれるでしょう。運命的な出会いと別れ、夏の思い出、透明になった夫婦の絆、女性の身体をめぐる葛藤、創作に向き合う苦悩、親友の死と雪の街、単調な毎日の中で見つける光。これらの物語は、私たちの心に静かに寄り添い、人生の様々な場面で感じる感情を繊細に描き出しています。日常の中で見失いがちな大切なものを、この漫画を通して再発見できるはずです。
2位 気になってる人が男じゃなかった (新井 すみこ)
「気になってる人が男じゃなかった」は、女子高生のあやが抱く恋心と、その相手であるミステリアスな「おにーさん」の正体をめぐる物語です。あやが憧れを抱く「おにーさん」は、実は彼女のクラスメイトである目立たない女子・みつきだったのです。
この作品は、Twitterで大きな注目を集めた女性同士の愛情を描いた作品であり、待望の書籍化となりました。みつきの過去に関する描き下ろしストーリーも収録されており、彼女の人物像により深みが加えられています。
女性同士の繊細な感情の機微と、思春期特有の揺れ動く心情が丁寧に描写されており、読者の共感を呼ぶことでしょう。また、一見すると異性愛的な関係に見えた二人の関係性が、実は同性愛的であったというどんでん返しは、読者に新鮮な驚きを与えてくれます。
この作品は、性的マイノリティの視点から恋愛を描いた、現代社会にマッチした物語です。多様性を尊重し、誰もが自分らしく生きることの大切さを感じさせてくれる一冊です。
3位 いやはや熱海くん (田沼 朝)
「いやはや熱海くん」は、イケメンゆえに女子から毎日のように告白されるも、実は男性が好きな高校生・熱海くんの恋模様を描いた作品です。
ナチュラルな台詞回しが魅力の新鋭・田沼朝による本作は、モテる男子の複雑な心情を巧みに表現しています。周囲から人気者と見られている熱海くんですが、本当の想いを隠しながら日々を過ごしている姿に、読者は共感せずにはいられないでしょう。
同性に恋心を抱く熱海くんの葛藤や、周囲との関係性の変化など、思春期特有の悩みが繊細に描かれています。また、恋愛だけでなく、友情や家族との絆なども丁寧に描写されており、読後感は爽やかで心が温まる作品となっています。
もしあなたが、ありのままの自分と向き合いながら成長していく物語を求めているなら、ぜひ「いやはや熱海くん」を手に取ってみてください。きっと、熱海くんの姿に自身を重ね、新しい発見や勇気をもらえるはずです。
4位 クジャクのダンス、誰が見た? (浅見理都)
『クジャクのダンス、誰が見た?』は、クリスマスイブの夜に起きた元警察官殺害事件を軸に、容疑者の逮捕後も新たな真実が明らかになっていくクライム・サスペンスです。被害者の娘に宛てられた手紙には、逮捕された容疑者が冤罪である可能性が示唆されており、読者は真相を追いかけずにはいられません。著者の浅見理都は、『イチケイのカラス』の映像化でも知られる実力派作家で、緻密に構築されたストーリーと予測不能な展開が魅力です。登場人物の心理描写も丁寧に描かれ、読み応えのある一冊となっています。ミステリー好きはもちろん、サスペンスやクライム小説に興味がある方にもおすすめの作品です。
5位 違国日記 (ヤマシタトモコ)
「違国日記」は、突然両親を亡くした中学生の朝と、彼女の叔母である人見知りな少女小説家・槙生の同居生活を描いた物語です。親族からたらい回しにされそうになっていた朝を槙生が引き取ったことから、2人の新生活が始まります。不器用で人付き合いが苦手な槙生と、素直で明るい朝という正反対の2人が織りなす日常は、笑いあり、涙ありの心温まるものです。年の差や性格の違いを乗り越えて、互いに理解し合おうと努力する姿に、家族の絆の大切さを感じずにはいられません。また、朝が高校に入学し、思春期特有の悩みを抱えながら成長していく姿は、読者の共感を呼ぶことでしょう。「違国日記」は、困難な状況の中でも前を向いて生きる2人の姿を通して、家族の意味を問いかける感動作です。
6位 霧尾ファンクラブ (地球のお魚ぽんちゃん)
「霧尾ファンクラブ」は、女子高生の三好藍美と染谷波の日常を描いた一風変わったラブコメディ漫画です。二人の話題は、いつもクラスメイトの"霧尾くん"のことで持ちきり。彼の学ランを奪い合ったり、夢に出すための謎の儀式をしたり、デートを妄想したりと、ちょっと変わった行動が目立ちます。でも、そんな二人の一途な想いや、友人でありライバルでもある関係性が、読んでいてとても微笑ましく感じられます。恋愛までたどり着けそうにない二人の日常が、フレッシュで独特な雰囲気を作り出しています。ちょっぴり変わったラブコメディが好きな人には、ぜひおすすめしたい一冊です。
7位 家が好きな人 (井田 千秋)
井田千秋さんの「家が好きな人」は、日常の小さな幸せを温かいタッチで描いたオールカラーのコミック&イラスト集です。自分の家が一番好きだと感じる人々の日常を、ササさん、カエさん、ナナコさん、ミドリさん、アキラさんの5軒の家を通して紹介しています。楽しい日も、そうでない日も、家はいつでも私たちを優しく包み込んでくれる大切な存在です。日常に散りばめられた小さな幸せを発見し、家と共に過ごす時間の素晴らしさを再認識できる一冊です。家が好きな人はもちろん、日常の中に幸せを見つけたい人にもおすすめの心温まる作品です。
8位 狼の娘 (小玉ユキ)
「狼の娘」は、受験を控えた高校3年生の月菜が主人公の青春ファンタジー漫画です。月菜は誰にも言えない秘密を抱えながら日々を過ごしていますが、ある日アルバイト先で出会った不思議な男性・颯によって秘密を言い当てられ、驚きを隠せません。
この出会いが月菜自身を大きく変えていく中で、「私は何者なのか?」という問いが心に生まれます。月菜の秘密や自己探求の旅が、読者を引き込む魅力的な要素となっています。
また、タイトルにある「狼」が物語にどのように関わってくるのかも気になるポイントです。狼と少女が織りなす運命の輪が廻り出す様子が、ファンタジー要素を加えながら描かれています。
青春の悩みや成長、そして運命の出会いが絡み合う「狼の娘」は、ミステリアスな雰囲気と魅力的なキャラクターが織りなす物語に引き込まれること間違いなしの作品です。
9位 ホタルの嫁入り (橘オレコ)
「ホタルの嫁入り」は、明治時代を舞台に、余命わずかな伯爵令嬢・紗都子と、愛が重すぎる殺し屋・後藤進平の運命的な出会いから始まる、ドキドキハラハラの結婚物語です。家の利益のために結婚することを夢見る紗都子が、命を狙われた際に出会った進平に、思わず結婚を提案してしまったことから、二人の関係が大きく動き出します。一時的な嘘のはずが、進平の深すぎる愛情に、紗都子は翻弄されていきます。『プロミス・シンデレラ』の著者による最新作は、華族令嬢と殺し屋という異色の組み合わせが織りなす、危険で刺激的な愛の物語。ページをめくる手が止まらなくなる、ドラマチックなストーリー展開が魅力です。
10位 零れるよるに (有賀リエ)
「零れるよるに」は、DVの被害者である主人公のよるが児童養護施設で出会った同い年の天雀との絆を描いた感動的な作品です。二人は過酷な環境の中で、お互いの痛みを理解し合い、支え合うことで生きる希望を見出していきます。よるの天雀への感情が友情から恋愛へと変化していく過程は、繊細かつリアルに描かれており、読む人の心を揺さぶります。困難な状況の中でも、絆の力によって乗り越えていく二人の姿は、読者に勇気と希望を与えてくれるでしょう。人との繋がりの大切さ、そして暗闇の中にも必ず光が射すというメッセージが込められたこの作品は、多くの人に読んでもらいたい一冊です。