漫画まとめ

2巻で完結する面白いオススメマンガ30選

ソラニン (浅野いにお)

ソラニンの概要

「ソラニン」は、20代の若者の悩みや葛藤を丁寧に描いた作品です。社会に適応できない主人公・井上芽衣子の姿を通して、自分らしい生き方を模索する過程が共感を呼びます。

自分のやりたいことが分からない、社会の規範に縛られて息苦しさを感じる、そんな思いを抱えている人は少なくないでしょう。特に、日本社会の厳しい規律の中で、自分の居場所を見つけられずに苦しんでいる人にとって、この作品は心に響くメッセージを届けてくれます。

「自分は何者なのか?」「何をしたいのか?」「どうすれば幸せになれるのか?」という普遍的な問いかけに真摯に向き合う主人公の姿は、同じような悩みを抱える読者に勇気を与えてくれるはずです。

社会人としての責任と、自分の夢や希望との間で揺れ動く主人公の心情は、リアリティをもって描かれています。彼女が新しい一歩を踏み出す姿は、読者の背中を押してくれるでしょう。

人生に迷ったとき、この作品を手に取ってみてください。きっと、自分らしい生き方を見つけるヒントが見つかるはずです。

星守る犬 (村上たかし)

星守る犬の概要

「星守る犬」は、人生のつらさと家族の大切さを描いた感動作です。

主人公の「おとうさん」は、病気で仕事を失い、妻に離婚を切り出され、家族と住む家も失ってしまいます。そんな中、唯一残された愛犬のハッピーと共に旅に出ます。

ハッピーの視点から描かれるストーリーは、人生の悲しさや生きることのつらさを切実に伝えてきます。しかし、そんな状況でも、おとうさんとハッピーは互いに寄り添い、残された時間を精一杯生きようとする姿に心打たれます。

「日輪草」では、おとうさんの死後、ケースワーカーの奥津京介が、わずかな手掛かりからおとうさんの人生を追うことで、物語に深みが加わります。

「星守る犬」は、人生の厳しさと家族の絆を描いた作品です。読み終わった後は、きっと大切なものについて考えさせられるはずです。心に響く感動作を探している方におすすめの一冊です。

遥かな町へ (谷口 ジロー)

遥かな町への概要

「遥かな町へ」は、主人公・中原博史が母の墓参りの最中にタイムスリップし、中学2年生の夏を父親と過ごすことになるストーリーです。谷口ジローさんの作品は、漫画というよりも文学や映画に近く、落ち着いた日常シーンに引き込まれます。特に心理描写がすばらしく、主人公のナレーションは味わい深く、昭和の文学作品を読んでいるような安心感に包まれます。少年時代、両親の愛情、家族の絆など、さまざまなテーマを感じる上質なヒューマンドラマであり、美しくて切ない物語です。谷口ジローさんの繊細な筆致と独特の雰囲気が、読者を物語の世界に引き込み、心に残る作品となっています。人生の機微を描いた深みのある作品を探している方におすすめの一冊です。

ジョゼと虎と魚たち (絵本 奈央,田辺 聖子,『ジョゼと虎と魚たち』製作委員会)

ジョゼと虎と魚たちの概要

「ジョゼと虎と魚たち」は、車椅子生活を送る少女・ジョゼと、男子大学生・恒夫の出会いと成長を描いた感動のヒューマンドラマです。

人を信用せず、高飛車な態度で接するジョゼですが、その心の奥には深い孤独と悲しみを抱えています。そんなジョゼに惹かれていく恒夫との複雑な関係性が、読む人の心を揺さぶります。

二人の出会いは偶然でしたが、次第に心を通わせていく過程は、友人でも家族でも恋人でもない、特別な絆の形成を感じさせてくれます。

原作小説だけでなく、実写映画やアニメ映画でも楽しめるのも魅力の一つ。それぞれの作品で描かれる二人の関係性の違いを見比べるのも面白いでしょう。

試練と成長の物語であり、感動の完結を迎える本作は、心に残る名作です。ぜひ一度手に取ってみてください。

銀河の死なない子供たちへ (施川 ユウキ)

銀河の死なない子供たちへの概要

『銀河の死なない子供たちへ』は、とうに人類が滅亡した後の星を舞台に、不死の子どもたちが生きる様子を描いた漫画です。永遠の命を持つこれらの子供たちは、果てしない日常と向き合いながら、生命と時間の意味を探求します。

この作品は、生きることの本質や死の概念、そして何万年も生き続けることの重みや意味について深く問いかけます。壮大なストーリーの中で展開される哲学的なテーマは、読者に多くの考えを促します。

漫画の絵柄はシンプルで、キャラクターは幼いため初見では子供向けの作品に見えるかもしれませんが、その印象に惑わされることなく読み進める価値があります。物語は成熟した内容で、大人も思わず唸るようなシーンが随所に散りばめられています。

読み終わった後には、深い感動と共に、自身の存在や人生について考えさせられるでしょう。不朽の命を持つ子どもたちの物語は、私たちが通常経験することのない視点から、人生とは何かを問い直す力強い作品です。

鳥人大系 (手塚治虫)

鳥人大系の概要

手塚治虫の隠れた名作「鳥人大系」は、鳥類が突如進化し、人類を支配するようになった恐ろしい終末世界を描いたSFファンタジーです。鳥たちは人間を家畜のように扱い、国家、宗教、経済、身分社会などを含む高度な文明を築き上げます。

この作品の最大の魅力は、「鳥が人類を支配する」という衝撃的なコンセプトにあります。鳥類文明は人間社会を模倣しながら発達していきますが、それはただのコピーに過ぎず、やがて予想外の展開へと物語は進んでいきます。

「猿の惑星」ならぬ「鳥の惑星」とでも呼ぶべきこの作品は、人類の地位を脅かす鳥類の出現から始まり、鳥人社会の繁栄と衰退までを描く壮大な物語です。高度な文明を築いた鳥人たちが、人類と同じ過ちを繰り返す様子は、現代社会への警鐘とも受け取れます。

手塚治虫の想像力と洞察力が遺憾なく発揮された「鳥人大系」は、SFファンのみならず、全ての読者に強い印象を与える作品です。ぜひ一度手に取って、この衝撃的な世界観を体験してみてください。

レベルE (冨樫義博冨樫義博)

レベルEの概要

『レベルE』は、天才的頭脳を持つ自称宇宙人の「バカ王子」と、彼に振り回される高校生・筒井雪隆の同居生活を描いたSFコメディ漫画です。

バカ王子のキャラクターは、めちゃくちゃな性格とズル賢さを兼ね備えた、憎めないトラブルメーカー。彼の予測不可能な行動に、読者は常に驚かされることでしょう。

また、本作は全3巻という手軽さも魅力の一つ。短編エピソードが詰まったオムニバス形式ですが、どのストーリーも非常に練られており、読みごたえは抜群です。

特に「食人鬼編」では、バカ王子が作中で描いた漫画(アニメ版では携帯ゲーム)が登場するなど、メタフィクション的な要素も楽しめます。

冨樫義博さんの代表作『幽☆遊☆白書』が好きな人はもちろん、SFコメディが好きな人、ぶっ飛んだ宇宙漫画に出会いたい人にもおすすめです。

水域 (漆原友紀)

水域の概要

漆原友紀さんの新作ファンタジー漫画「水域」は、水不足に悩む現実の町と、雨が降り続ける神秘的な村を舞台に、水と生命の永遠のサイクルを描いた作品です。

主人公の女子中学生・川村千波は、酷暑で倒れた後、目覚めると不思議な村にいました。そこでは、若い頃の母親と再会し、「ここは今はもうない場所だ」と告げられます。

現実世界と夢の村を行き来する千波の体験を通して、水の尊さと生命の神秘が静謐な筆致で描かれています。漆原さんの安定した作画は、細部まで丁寧に描き込まれた自然風景と登場人物の繊細な表情を鮮やかに表現しています。

『蟲師』で知られる漆原さんの新境地とも言える本作は、現実と非現実の狭間を描いた幻想的な物語です。水を巡る命の循環に思いを馳せながら、人々が本当に居るべき場所とは何かを問いかけてくる、深く心に響く作品となっています。

All You Need Is Kill (桜坂洋,竹内良輔,安倍吉俊,小畑健)

All You Need Is Killの概要

『All You Need Is Kill』は、絶望的な未来で「ギタイ」と呼ばれる敵と戦う地球が舞台の終末SFアクション漫画です。主人公のキリヤ・ケイジは新兵として戦場に投入されるも、奇妙なタイムループに巻き込まれてしまいます。彼は戦闘の度に死亡し、同じ日を繰り返し体験する中で、次第にスキルと記憶を蓄積していきます。

この漫画の魅力は、タイムループという設定を通じてキリヤがどのように成長し、最終的に敵を倒す強さを身につけるのかを描いている点です。また、ループごとに主人公が感じる精神的ストレスの描写はリアルで、読者に深い共感を呼び起こします。

コミカライズは「DEATH NOTE」で知られる小畑健さんが担当しており、その圧倒的な画力と迫力ある戦闘シーンが物語に臨場感を与えます。わずか2巻で完結するこの漫画は、ハイスピードで展開され、読む者をタイムループのスリルと戦略的な奥深さに引き込みます。

ループ系ジャンルの魅力を存分に味わえる『All You Need Is Kill』は、アクションと心理戦が好きな読者にとって必読の作品です。読み終えた後は、主人公の旅路と彼が直面する挑戦に長く思いを馳せることでしょう。

メランコリア (リカチ)

メランコリアの概要

「メランコリア」は、個性的なキャラクターと奇想天外なアイディアが詰まったショートストーリー集です。しゃべる猫、吸血鬼、エイリアン、人魚など、様々な要素が登場し、読み手を飽きさせません。一見するとカオスな作品ですが、秀逸なオチまで綺麗にまとめる構成力は見事です。

また、この漫画は単なる短編集ではなく、長編としてのストーリーも備えています。第10話あたりから、それぞれの短編が絡み合い、ラストにかけて収束していく展開は圧巻です。古今東西のネタを集めたようなアイディア量と、少しずつ交錯していくストーリーが面白さを倍増させています。

全体的にとにかく楽しい作品なので、気軽に手に取ってみてください。きっと、その独創的な世界観に引き込まれることでしょう。

opus (今 敏)

opusの概要

『Opus』は、漫画家でありアニメ映画監督としても知られる故・今敏さんによる作品で、漫画「RESONANCE(レゾナンス)」の作者・永井力が自らの作った漫画の世界に吸い込まれ、フィクションと現実の狭間で奮闘する物語です。永井は、自分が創造したキャラクターたちと共に世界の崩壊に立ち向かいます。

この漫画は、フィクションと現実の境界が曖昧になる展開を通じて、創作の本質や作者と作品との関係について深く掘り下げます。読者は、物語が進むにつれて何が現実で何が虚構かを見極めるのが難しくなり、その不思議な魅力に引き込まれます。

視覚的にも圧巻のシーンが多く、今敏さんの独特な芸術性が随所に感じられるため、アニメ映画としても見てみたいほどです。残念ながら作者の急逝により、物語は完結を見ずに終わってしまいましたが、後に完全版が刊行され、彼の創作への情熱を感じることができる貴重な作品となっています。

『Opus』は、漫画というメディアを通じて創作者と作品との関係性を巧みに描いた、今敏さんの遺作です。漫画が好きな方、創作に興味がある方にとっては、特に感慨深い一作となるでしょ

タコピーの原罪 (タイザン5)

タコピーの原罪の概要

『タコピーの原罪』は、ハッピー星から来たイカのような異星人・タコピーが主人公の物語です。タコピーは地球で途方に暮れているところを、しずかという少女に助けられます。タコピーはしずかへの恩返しをしようと決心しますが、しずか自身が学校で深刻な問題を抱えており、精神的に追い詰められている状況に気づきます。

この作品は、「異星人×少女」というユニークなコンセプトで、現実世界のシリアスな問題に光を当てています。タコピーの無垢で前向きな姿勢が、しずかの抱える重い現実と対比され、読者に強い印象を与えます。

物語は圧倒的な悲劇を描いており、タコピーのひたむきな努力が逆にその悲劇を際立たせ、絶望感を深める要因となっています。この作品は、その重さとともに、社会問題に対する深い洞察を提供しており、考えさせられる作品を求める読者には特におすすめです。

絵柄はシンプルながらも表情豊かで、感情の機微を巧みに捉えています。『タコピーの原罪』はただのエンターテインメントではなく、読後に深い感動と多くの思索を残す作品です。

君は月夜に照り輝く (佐野 徹夜)

君は月夜に照り輝くの概要

「君は月夜に照り輝く」は、余命わずかな少女と、なげやりに生きる高校生の青春ストーリーです。奇病「発光病」に侵された少女・渡良瀬まみずは、月の光を浴びると体が淡く光り、死期が近づくほどその光は強くなります。彼女には、死ぬまでにしたいことがありました。そんな彼女と出会った主人公・岡田卓也は、彼女の「やりたいことリスト」を代行することを決意します。

この物語は、「青春」というジャンルでありながら、「闘病」や「終活」といった普遍的なテーマを繊細に描いた作品です。読む人の心を揺さぶり、人生について考えさせてくれるでしょう。もし大切な人の人生が残りわずかだとしたら、私たちはどのように寄り添えばいいのか。そんな問いかけを投げかけてくれる、世代を超えて共感できる漫画です。

圧倒的な感動が待っている「君は月夜に照り輝く」は、"今を生きる"すべての人にぜひ読んでほしい作品です。この物語を通して、かけがえのない今を大切に生きるきっかけを得られるはずです。

紙袋くんは恋してる (甘海老りこ)

紙袋くんは恋してるの概要

「紙袋くんは恋してる」は、頭に紙袋をかぶった謎の男子大学生・紙袋くんと、女子大学生・海ちゃんの異色のラブストーリーです。一見ストーカーや変質者に見える紙袋くんですが、実は極度にシャイなだけの純粋で一途な男の子。そんな紙袋くんに突然告白された海ちゃんは戸惑いつつも、次第に彼の純粋さに惹かれていきます。

「こえ恋」ファンにもおすすめしたい、キュートでヘンテコな恋愛漫画です。紙袋くんのピュアすぎる言動と、それに翻弄される海ちゃんのやりとりは、読んでいてとにかく微笑ましい! 現実にこんな人がいたら確かに驚きますが、漫画の中だからこそ成立する、愛らしいキャラクターたちの物語です。

表紙のインパクト大な紙袋くんのビジュアルに惹かれた方は、ぜひ一度読んでみてください。ストーリーの意外な展開にきっと引き込まれるはずです。電子版には描き下ろしマンガも付いているので、もっと紙袋くんの魅力を味わえますよ!

百万畳ラビリンス

百万畳ラビリンスの概要

ゲーム会社でバイトをしている礼香と庸子は、ある日目覚めると見慣れぬ異空間に迷い込んでしまいます。そこは現実とは異なる法則が支配する不気味な迷宮「百万畳ラビリンス」でした。生身の人間である彼女たちにとって、一歩間違えば命の危険にさらされる過酷な状況下で、脱出する方法を模索しながら、この謎の世界の正体に迫っていきます。

作者・たかみちさんの卓越した表現力により、ゲーム世界の異空間が実在するかのように描かれ、読者を引き込みます。主人公たちが直面する予想外の危機や、ゲーム感満載の展開は、ドキドキと緊張感を与えてくれるでしょう。さらに、物語後半では意外な展開が待ち受けており、読者の好奇心をかき立てます。

2016年マンガ大賞第6位に輝いた人気作品でありながら、アニメ化や続編が発表されていない『百万畳ラビリンス』。この機会にぜひ全2巻を手に取り、ゲームのような不思議な世界に足を踏み入れてみてください。

キヌ六 (野村亮馬)

キヌ六の概要

『キヌ六』は野村亮馬さんによるダイナミックなSFアクション漫画です。この物語は、火星への脱出を目指す「地球で作られた火星人」キヌと、事件に巻き込まれたサイボーグ少女・六(ロク)が主人公です。二人は英軍の追跡を逃れながら、東京から名古屋まで壮絶な逃避行を繰り広げます。

作品は、キヌの超人的な能力を駆使したアクションシーンが魅力的で、迫力満点の展開が読者を引き込みます。また、キヌと六の間に徐々に築かれていく信頼関係や、彼らの心理的な変化が物語に深みを加えています。

独特のSF世界観と、ストーリーのテンポの良さもこの漫画の大きな特徴です。全12話で完結する計画的な構成は、物語をコンパクトにまとめ上げ、ダイナミックながらも洗練された読み応えのある作品に仕上がっています。

『キヌ六』は、SF好きはもちろん、スリリングなアクションと心温まるキャラクターの成長物語を楽しみたい読者にもおすすめの漫画です。全2巻で読みやすく、一気に読破したくなること間違いなしのエキサイティングな作品です。

ロジックツリー (雁須磨子)

ロジックツリーの概要

雁須磨子さんの『ロジックツリー』は、8人兄妹の真ん中に生まれた女子高生・螢を中心に、大家族とその周囲の人々の人生模様を描いた群像劇です。兄妹それぞれが抱える思いや葛藤が赤裸々に綴られ、家族の絆や個人の成長が丁寧に描かれています。登場人物が多いにもかかわらず、「兄妹」という括りで不思議なまとまりを見せているのが特徴的です。螢自身の恋愛や進路に関する悩み、長男の結婚話、双子の四男の自暴自棄な行動など、家族それぞれの人生が交錯する中で、螢は人の気持ちが理解できない新人小説家・小関との出会いを通じて成長していきます。家族の絆、個人の成長、そして他者との関わりの中で生まれる変化を丁寧に描いた作品であり、家族の物語に胸を打たれ、感動する漫画を探している方におすすめです。

ロボ・サピエンス前史 (島田虎之介)

ロボ・サピエンス前史の概要

島田虎之介さんのSF漫画『ロボ・サピエンス前史』は、独特のイラストチックな線で描かれたロボットたちのオムニバス的なストーリーです。人間のために働き、やがて知性を持つようになったロボットたちの未来を探求しています。

この作品では、ロボットの捜索を職とするサルベージ屋、誰の所有物でもない「自由ロボット」、半永久的な耐用年数を持つ「時間航行者」など、さまざまな視点からヒトとロボットの未来世界が描かれています。時の流れの中で、彼らの運命は1つの大きな終着点に向かって動き出していきます。

『ロボ・サピエンス前史』は、ロボットたちが「ロボ・サピエンス」としてどこへ向かうのかを問いかけ、人間のはるか先を歩いていくであろうロボット、そして地球の未来を予感させる壮大なラストが印象的です。SF超大作映画のような読後感を味わえる全2巻の作品は、ロボットとヒトの未来を夢想するロマンティック・フューチャーとして、SF好きにはぜひおすすめしたい一作です。

最後の遊覧船 (すぎむらしんいち)

最後の遊覧船の概要

すぎむらしんいち先生の『最後の遊覧船』は、人生の岐路に立つ主人公の心の旅を、ユーモアとドラマチックな展開で描いた傑作です。TVドラマの失敗や恋愛のトラブルに加え、舞台台本の締め切りに追われる女性脚本家が、すべてから逃れるために帰郷するところから物語は始まります。

故郷の幻舟湖で、彼女は不思議な体験をすることになります。遊覧船に乗っては降り、乗っては降りるループにハマってしまうのです。この限定された空間で、個性豊かな登場人物たちとの交流を通して、主人公は自分自身と向き合っていきます。

すぎむら先生の巧みな筆致により、読者は主人公の心情に深く共感することができます。昼のメロドラマを思わせる雰囲気の中で繰り広げられる登場人物たちの掛け合いは、思わず笑みがこぼれるほど魅力的です。また、予想外の出来事が次々と起こる怒涛の後半戦は、読者を物語の世界に引き込んで離しません。

『最後の遊覧船』は、人生の困難に直面した時、私たちがどのように立ち向かうべきかを考えさせてくれる作品です。すぎむら先生の洞察力と表現力が光る一冊であり、幅広い年代の方々におすすめできる漫画です。

子供はわかってあげない (田島列島)

子供はわかってあげないの概要

田島列島さんの漫画『子供はわかってあげない』は、ライトなタッチと登場人物の軽妙なやり取りが魅力的な作品です。書道部の門司くんと水泳部の朔田さんが、朔田さんの実父を探す道中で繰り広げられる、ひと夏のボーイ・ミーツ・ガールストーリーは、笑いあり、感動ありの読み応え抜群の内容となっています。

作者の巧みな筆致により、登場人物たちの個性が生き生きと描かれ、読者を物語の世界に引き込みます。また、アニオタや新興宗教、超能力といった要素が絡み合う独特の設定も、作品に奥行きを与えています。

練り込まれたストーリー展開と、思わず頬が緩んでしまうような甘酸っぱい青春模様が、この作品の大きな魅力です。もし、あの頃の夏休みを思い出したい、または、ちょっと変わった青春物語を読んでみたいと思うなら、ぜひ『子供はわかってあげない』をお勧めします。きっと、この上下巻を読み終えた後には、心に残る素敵な余韻を感じられるはずです。

音街レコード (毛塚 了一郎)

音街レコードの概要

『音街レコード』は、中古レコード店でバイトする女子大生の日常と、彼女が経験する様々なドラマを描いた漫画です。この作品は、毛塚了一郎さんによって、彼の同人作品『てれぴんレコーズ』を改題して出版されました。レコードを中心に展開される物語は、レトロ感溢れる牧歌的な雰囲気と緻密に描かれた背景が特徴です。

漫画は、朴訥とした絵柄で、「レコードのある風景」を美しく、そして丁寧に描き出しています。中でも注目の中編『音霊ドライブ』では、主人公が郊外のレコード店で予期せぬ恐怖体験をするというストーリーが展開され、読者を引き込みます。

この漫画は、日常に溶け込むレコードとその文化を軸に、人々の生活や心情を優しく切り取りながらも、時には予想外の展開で驚かせる作品です。レコード愛好家はもちろん、心温まる物語を楽しみたいすべての読者におすすめの漫画であり、読後の余韻も深いです。『音街レコード』は、現代を生きる私たちにとって、ちょっとした逃避行とも言える一冊です。

さよならフットボール (新川直司)

さよならフットボールの概要

『さよならフットボール』は、中学サッカー部唯一の女子部員・恩田希の奮闘を描いた熱血スポーツ漫画です。

希は類まれなるボールテクニックを持ちながらも、体格差を理由に公式戦への出場を認められていません。しかし、幼馴染の江上西中学校キャプテン・谷安昭(ナメック)との再会をきっかけに、彼に一泡吹かせるため、試合出場を決意します。

監督や仲間たちの葛藤を乗り越え、希は弟と入れ替わる形で念願の公式戦に出場。ナメックとのドリブル勝負に挑みます。

誰よりもフットボールを愛する14歳の少女の青春ストーリーに、きっと胸が熱くなるはず。全2巻という手頃なボリュームも魅力です。

スポ根好きはもちろん、部活動に打ち込む全ての中学生にこそ読んでほしい、新川直司さんの渾身作をぜひチェックしてみてください!

GREY (たがみよしひさ)

GREYの概要

たがみよしひささんのSF漫画『GREY』は、荒廃した未来を舞台に、「市民」になるために「戦士」となった人々の戦いを描いた作品です。主人公の「死神」と呼ばれる男・グレイが、多くの仲間を失いながらも、世界の真実に迫っていく姿は、読む者を引き込まずにはいられません。

迫力あるアクションシーンと、たがみ節とも言うべきスカしたセリフが魅力的で、一度読み始めるとクセになること間違いなしです。数十年前の漫画ですが、今読むと懐かしさよりも新鮮味を感じられる、タイムレスな作品となっています。

また、独特なメカデザインにも注目です。SF好きにはたまらない、こだわりのあるデザインが随所に散りばめられています。

恋人を追いかけるように戦場に立つ主人公の姿は、読者の心を打つこと必至。過酷な戦いを生き抜く「死神」グレイの活躍から目が離せません。SFハードアクションの傑作として、ぜひ多くの人に読んでもらいたい一作です。

Boy Meets Girl ~マウンドの少女~ (塀内夏子)

Boy Meets Girl ~マウンドの少女~の概要

『Boy Meets Girl ~マウンドの少女~』は、塀内夏子著のジュニアスポーツ漫画で、リトルリーグに所属する小学六年生のモリタケ少年と、サウスポーでサイドスローのエースであるしおりを中心に描かれています。物語はモリタケの視点から進行し、彼がしおりに対して抱く淡い感情を繊細に表現しています。

この作品は、恋愛感情をまだ恋とも認識しない微妙な年齢の少年少女の交流を描きながら、成長期の少年たちと体格に差が出始める少女のスポーツに対する真摯な姿勢を丁寧に描いています。スポーツを通じた友情と競争、そして少しの甘酸っぱさが交錯する青春の一コマが、読者に清々しい読後感を提供します。

さわやかでありながらも、スポーツと成長のリアリティが感じられるストーリーテリングは、ジュニアスポーツを題材にした漫画として秀逸です。モリタケとしおりのキャラクターが魅力的で、彼らの内面的な成長を感じさせる展開は多くの読者に共感を呼びます。

『Boy Meets Girl ~マウンドの少女~』は、スポーツが好きな方だけでなく、心温まる物語を求めるすべての読者におすすめの作品です。

ヘレンesp (木々津克久)

ヘレンespの概要

木々津克久さんの『ヘレンesp』は、事故で視力・聴力・言語を失った少女ヘレンが、愛犬ヴィクターとともに不思議な力を使って事件に立ち向かう物語です。一見、ハートフル・ファンタジーと紹介されていますが、木々津さんらしい毒のある展開が魅力的です。

ヘレンは事故で失ったものの代わりに得たespを使い、叔父さんやヴィクターと平和な日々を送っていました。しかし、その力が彼女を次々と不思議な事件へと巻き込んでいきます。1話完結型のストーリーで、ヘレンの成長と事件の真相解明が巧みに描かれています。

また、『ヘレンesp』を読んだ後に、同じ作者の『アーサー・ピューティーは夜の魔女』を読むことで、木々津ワールドをより深く楽しめます。二作品を通して、木々津さんの独特な世界観と物語の面白さを堪能できるでしょう。

草野と希 (岩国 ひろひと)

草野と希の概要

岩国ひろひとさんの『草野と希♨』は、元ヤクザの草野と女子高生の希という異色のコンビが、800万円を持ち逃げした希の姉を追いながら、温泉とグルメの旅を繰り広げるライトなコメディ・サスペンス漫画です。

関西屈指の温泉街・城崎を舞台に、外湯めぐりや但馬牛、松葉がになどの観光を堪能しつつ、消えた800万円の行方を追う、温泉&グルメ&観光&サスペンス&バトルが詰まった温泉町周遊エンタテイメントです。

岩国ひろひとさんの魅力的なキャラクター造形と抜群の画力により、温泉とグルメの描写が見事に表現されており、読者を物語の世界に引き込みます。また、人情味あふれるストーリーは、全2巻できっちりと完結しており、読後感も抜群です。

コロナ禍の影響で残念ながら短期間で完結してしまいましたが、『草野と希♨』は一見の価値ある作品であり、温泉とグルメ、そしてコメディとサスペンスが絶妙に融合した魅力的な漫画です。ぜひ手に取ってみてください。

水色の部屋 (ゴトウ ユキコ)

水色の部屋の概要

『水色の部屋』は、母親のサホと二人暮らしの高校生・正文の複雑な心情を描いた作品です。正文は若く魅力的な母親に対して屈折した愛情を抱いており、その想いがやがてある事件を引き起こしてしまいます。

幼馴染の京子が同級生の河野と付き合い始めるも、河野はサホにも興味を示し、物語は思わぬ方向へ進んでいきます。衝撃的なシーンから始まるこの作品は、思春期特有の陰鬱さをゆるやかに、ねっとりと描き出しています。

しかし、印象的なのは母親の愛情です。ゴトウユキコ氏は圧倒的な深度で、母と息子の性と愛を描き切りました。昭和の日本映画を彷彿とさせる、せつなくもエロティックな世界観は必見です。山本直樹氏も絶賛するこの作品は、親子の複雑な関係性に興味がある方におすすめの一冊です。

散人左道 (水上悟志)

散人左道の概要

『惑星のさみだれ』で知られる水上悟志先生の初の単行本作品である『散人左道』は、現代を舞台にした妖怪バトルものです。初の長期連載作品ならではの初々しさを感じさせつつも、絵柄はすでにこの頃から完成されており、作者の実力を感じさせます。

主人公のフブキは、左道黒月真君の名を継いだ銀髪の仙人で、師匠の言づてに従って霊穴めぐりをしながら、精霊や妖怪などから人々を助ける修行の旅を続けています。キャラクター同士のやりとりはコミカルで飄々としていますが、肝心なところでは熱くなったり、ラストに向けて盛り上がっていったりと、作者らしい展開が楽しめます。

独特なタッチで描かれる現代仙道活劇は、水上悟志先生ならではの世界観を作り上げており、読み進めるほどにその魅力に引き込まれていきます。妖怪バトルものが好きな方はもちろん、個性的なキャラクターと独創的な設定を楽しみたい方にもおすすめの一冊です。

TISTA (遠藤達哉)

TISTAの概要

「TISTA」は、ニューヨークを舞台に暗殺者として生きる少女の物語です。少年漫画の良さを取り入れつつ、洗練された読みやすい絵柄で描かれています。一見コミカルに見えますが、直接的なギャグは少なく、明るい描写とダークでヘビーなストーリーのバランスが絶妙です。少女のアイデンティティーを軸に、派手なガンアクションが展開されながらも、錯綜する状況が最後にすべて収束していく、まるで映画のようにまとまった2冊の作品です。悲運な宿命を背負った少女が、贖罪の祈りを捧げながら銃弾を放つ姿は、読者の心を強く揺さぶるでしょう。アクション、ドラマ、そして人間性の探求が見事に融合した、おすすめの漫画です。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (杉基 イクラ,桜庭 一樹)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないの概要

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」は、どこにでもいる少し不幸な少女・山田なぎさと、自分を「人魚」だと語る謎多き転校生・海野藻屑との奇妙な友情を描いた青春暗黒ミステリーです。ライトノベルっぽくないライトノベルの漫画化作品で、逃げ場のない少女達の日常という平坦な戦場を生き延びるための戦いを描いています。原作の小説と漫画が互いのイメージを補間し合い、藻屑の秘密や悲しい真実が次第に明らかになっていく中で、なぎさと藻屑の別れの時が迫っていきます。衝撃の結末へと雪崩落ちていくこの物語は、とにかく暗く、読む順番によって新たな発見があるでしょう。個人的には、漫画⇒小説⇒漫画(2回目)の順で読んでみることをオススメします。

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